レイ:既にこのサイトでも再三言っているように、VRMの資料写真には屋上と並んで必須なのが車輌両側面の写真。
望む車輌をVRMで製品化して欲しいのであれば、屋上の写真と並んで避けては通れない道だ。
斜め上から撮影するのが屋上機器も撮影できて一番良いのだが、それは前回述べたので、今回の講座では地上から側面を撮影する時のテクニックその他を解説していこうと思う。
そしてここから本題。
斜め上からのアングルを除くと、側面写真には大きく分けて二つの形態がある。
真横からのアングルと……
やや斜めからのアングルだ。
このうち、理想的なのは真横からのアングル。
真横から撮影し、車体全体が入るのが側面写真では一番理想的な形。
床下機器・窓・ドアの正確な配置が分かり、大解像度で撮影すれば、台車等の細部写真もゲット出来る。
(勿論、台車等の細部は別にUPで撮影しておくのと良いが)
ただ、やや斜めからのアングルでも資料価値が無いかというと決してそんな事は無く、アイマジック社曰く『妻面形状や窓・ドアの立体感が把握出来る』との事だ。
ソース
http://moebiuslink.com/vrm5bbs/viewtopic.php?f=5&t=89&start=160#p1269
そして、特に都市部の鉄道では、撮影場所の都合上後者のやや斜めからのアングルになってしまう事が多い。
十分な距離を取れる場所が、都市部では対向式ホームの反対側しかないケースが多いからな。
そうした、斜めアングルになってしまった場合、赤丸で囲んだ奥の方にある部分が見づらくなってしまうので……
連射で撮影し、その奥の方のUP写真も一緒に投稿しておくと良いだろう。
また、これは我々の発案ではなく、別の重鎮の方の発案だが……
側面を真横から分割して撮影する方法もある。
(以下、これを側面分割撮影法と呼ぶ)
これだと超広角レンズを用意しなくても、対向式ホームの反対側から楽々撮影出来るので、初心者・機材が揃っていない方にもお勧め出来る。
勿論、超広角レンズがあればそれを使って分割撮影を行うと、1回の撮影で多くの範囲を写せる=写真容量を削減できるのでなお良い。
レイ:ただ、これは以前の記事でも述べたが……
側面全体が写っている写真が不要かというと、それは誤った考え方と言わざるを得ない。
訳は簡単、アイマジック社自身がこの手の側面写真全体を大量に撮影しまくっているからだ。
↓証拠記事
・小型電気機関車の入れかえ
http://moebiuslink.com/blog/?p=1747
・メトロ甲種
http://moebiuslink.com/blog/?p=1653
・どのような資料写真が必要ですか?
http://moebiuslink.com/blog/?p=1166
・EF65 1118 + キヤE193
http://moebiuslink.com/blog/?p=1143
・京急1000、ヘッドマーク付き
http://moebiuslink.com/blog/?p=819
・懐かしの113系
http://moebiuslink.com/blog/?p=571
・川越クモヤのディティール
http://moebiuslink.com/blog/?p=559
これも過去の記事で述べた事の繰り返しになるが、おそらくアイマジック社は床下機器やドア・窓の全体像を把握するために、側面全体の写真をよく撮影しているのだろう。
(本当に不要であれば、これだけの写真を撮影したり、ブログにUPしたりはしないはずだ)
ただ、角度がついていしまった為に見づらくなってしまった部分を補完するのに、側面分割撮影法は多大な威力を発揮するのもまた事実だ。
出来れば、側面全体の撮影と側面分割撮影は両方やるのが理想的だが……
これをやるとなると標的の列車が2往復するまで粘らないといけないので、特に長大路線の場合は時間との相談になるな。
さて、次はその側面を撮影するポイントについて解説しよう。
分割して撮影する場合は、対向式ホームから撮影すれば事足りるので、ここでは『側面全体』を撮影できる場所について解説する事にする。
1.田園地帯
側面撮影の定番。
ローカル線のみならず、大手私鉄などでも存在する事があるので、撮影に行く前にグーグルMAP等で調査しておくといいだろう。
言うまでもないが、撮影時、人様の畑・田んぼに立ち入ったりはしないように。
ましてや、沿線の桜の木を切り倒すなどもってのほかだ。
なお、雑草が茂って床下を隠す危険性有&日陰になる場所が乏しいので、夏場でこの田園地帯で撮影するのはお勧めしかねる。
2.複々線区間
側面撮影がしずらい都会において、手軽に側面が撮影できる数少ないポイント。
但し、駅間で撮影する場合、当然の事ながら前を走る列車に被られる事も覚悟しなければならない。
また、駅で撮影する場合はありまえだが普通(か準急)しか止まらないような駅……つまり、写真のような中間2線にホームが無い駅で撮影するのが良い。
但し、標準レンズで20m車を相手にすると、一番奥の線路を走る列車しか側面全体を写すことは不可能だ。
(それでも、左右の余白に全く余裕が無い状態での撮影になるが)
なので、撮影出来る車種を広げるためにも、複々線区間の駅(ならびに踏切)で撮影する時は超広角レンズを使いたい所。
超広角レンズであれば、一番奥の線路を走る列車なら余裕で撮影できるし……
奥から2番目の線路を走る列車も、何とか一枚の写真に収めることが出来る。
この作例で試したのは東急多摩川線・池上線系列の18m車だが、20m車でも少し画角を斜めにすれば何とかなると思う。
3.橋梁
川を渡る鉄道橋。 ここも、橋の形によっては側面資料撮影場所となる。
この万葉線の庄川鉄橋のように、橋の両側に障害物が何も無い橋がベストなのであるが……
東急東横線・目黒線が走る多摩川橋梁でも、柵はかかるが何とか撮影出来る。
アイマジック社曰く『柵が写りこんでも良しとします』とも言っているので、これでも資料写真としては十分だ。
もし、柵が被るのに納得できない場合は、駅で側面分割撮影を行い、柵がかかって分からない所をフォローすると完璧だろう。
但し、流石にトラス鉄橋は側面資料写真撮影場所としてはNGだ。
ここまで被り物が多いと、流石に資料写真としては『う~ん』といわざるを得ない。
目星をつけていた撮影地が全面トラス鉄橋だった場合、残念だがそこでの撮影は諦めたほうが良いな。
4.併用軌道
路面電車・ならびにごく一部の鉄道で見られる併用軌道。
ここでなら、側面資料写真が気軽に撮れる。
その代わり、車に被られるリスクというものが出てくるが……回避策はある。
以下、我々が路面電車撮影の折に実践している事を公開する。
A.互い違いの電停で撮影
路面電車の停留場、『電停』には、上の写真のように交差点をはさんで互い違いになっているものもある。
その互い違いホーム型電停のうち、交差点をわたる直前に電停があるタイプの物が資料写真撮影には最適だ。
何故なら、止まっている電車をゆっくり撮影できるので撮影に失敗する可能性が極めて低くなる事と、停車している間に台車等の細部も狙う事ができるというメリットがある。
具体的な電停で言うと、長崎電気軌道の『観光通り』電停や、土佐電気鉄道の『梅の辻』電停(上記写真)などが挙げられる。
なお、交差点をわたった先に電停があるタイプ(熊本市電の九品寺交差点電停など)は信号待ちの車が車体に被る危険性が大きかったり、乗り降り客いなかった場合に止まってくれない可能性もあるなど、撮影場所としてはあまりよろしくない。
この『互い違い電停』で撮影する場合、事前にグーグルマップ等で下調べしておく事が必須だ。
B.交差点出発時に撮影
電車の進行方向に向かって右側から、出発したばかりの電車を撮影する方式。
やり方のコツとしては……
たとえば、このような交差点で撮影を行う場合、上記SSの女子高生がいる辺りに布陣する。
すると、こんな感じの写真が撮影できる。
対向車線の車が来る前に、側面の写真を押さえてしまうのがこの方式のツボだ。
もっとも、対向車が猛烈な勢いでダッシュしてきたり、電車が出遅れたりした場合は被りが発生する事もあるので100%確実な方法とはいえない。
が、それでも何も考えずに併用軌道上の電車側面を狙うよりは成功率は高いだろう。
そして何より、この方式のメリットは交差点であれば全国どこでも通用する点だ。
つたない文章でこの方式の概略が伝わったかどうかは分からぬが、現地に行って感覚を掴む事が、この方式を習得する一番の早道だろう。
(近場に路面電車が無い方にはキツイ話だとは思うが)
C.カーブする電車を利用して撮影
電車が交差点を曲がる時、当然ながら直進する車は無い。
電車が直進車をブロックする効果を利用すれば、被られる事無く側面を押さえる事が可能だ。
また、側面だけでなく、前面……つまり、普通の鉄道写真を撮影する時にもこの方式は有効だ。
但し、交差点の中には右左折する車も同時に動かす所もあり(はりまや橋交差点など)、その場合は車に被られるリスクも通常通りとなってしまう。
このカーブを利用した方法を上手く扱うには、現地に行って信号の流れを把握するより他に手は無い。
そして、この『交差点の信号の流れ』というのはネットでは調べにくいのが難点である。
なお、最後になったが、写真のようなセンターポール・センターリザベーション方式の所は側面写真撮影場所としては不適だ。
(上下どちらか片方の列車が撮影できなくなるため)
交差点なら障害物があることもないため、Bの『交差点出発時撮影』を活用して側面写真の撮影を狙おう。
と、側面写真撮影について自分が今現在持っているノウハウをだらだらと述べてきたが、いかがだったであろうか?
分かりづらかった所もあるかもしれないが、その点についてはご容赦願いたい。
最後にこの側面写真の撮影……経験者なら分かると思うが、走行中の車輌の側面写真撮影はとにかくピンボケしやすい。
対策としては……
・置きピンを使用してS-AFを使って撮影
・AFで車体をきちんとロックしてから連写開始
(追尾AFの場合、AFカーソルが動きだしてから撮影)
といった方法が考えられるが、前者は置きピンする所を間違えると全カットピンボケ写真になるリスクがあるし……
かといって後者の方法で撮影しても、時折AFが誤作動して数カットピンボケ……という事も時々ある。
残念ながら、我々には確実な方法が思いつかない。
しいて出来る事と言えば、車体前後の空間を余分に取って、AF誤作動が数カット発生しても大丈夫なようにしておくくらいか。
また、これは前回の屋上機器もそうだが……
2両以上で走っている列車の場合、その編成全部の写真が必要になってくる。
(超低床車の場合は、カーブ通過の関係上丸々1編成=1両として製品化してくることはまず考えられないため、1両一車体一両とカウントした方がいいだろう)
列車が完全に通りすぎるまで、くれぐれも連写を止める事のないように。
(1編成の中で撮影できていない車輌が一つでもあると、資料価値が激減してしまう事は想像に難くないからな)
今回の解説は以上だ。
次回はその他の部分…… 細部や車内、そして写真では無いが効果音について解説していきたいと思う。
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